<レビュー>進化とは言えない？だがそれが良い！反発が丁度良い「Fuelcell SuperComp Elite v5」

こんにちは。2025年8月にニューバランス「FuelCell SuperComp Elite v5」(SC Elite v5)が発売されました。筆者は初代からこのシリーズを履いており、今作も履いてみましたので感想をレビューします。

「FuelCell SC Elite v5」の特徴

スペックは以下の通りです。

一番の変更点として、ドロップ（前足部と踵のソール厚みの差）が4→8mmになり重心移動がよりスムーズな設計になりました。これに伴い前足部は4mm薄くなるとともに約20g軽量化されました。

「SC Elite v5」には昨今主流のカーボンプレート「EnergyArc」が搭載されていますが、今作では推進力を高める目的でプレートの傾斜が深く高剛性になっているようです。

出展：Newbalance.com

前作は重量が215g程度とエリート向けモデルとしては決して軽くはありませんでしたが、今作では約20g軽量化され競合モデルど同水準になりました。

軽量化には以下の工夫（変更）が寄与しています。

これに伴い安定性がトレードオフとなっているため、敢えて辛口に言うとアップデートよりも仕様変更と考えます。

縦のサイズは前作や他モデルと同様に標準的で横幅は僅かに細いと感じました。特に中足部内側がタイトなため、幅広や扁平足のランナーはサイズ選びに注意が必要と考えます。

参考に、筆者はアディダス、アシックス、ニューバランス他モデルはいずれも26.0cm、ナイキ(ヴェイパーフライ）：26.5cmで履いています。「FuelCell SC Elite v5」は26.0cmでぴったりでした。

アッパーは2種の素材を組み合わせた「FANTOMFIT」で適度な厚みとクッション性があります。優しいフィット感で特に不満はありません。

シュータンとヒールパッドは十分な厚みと硬さで局所的な圧迫感や擦れはなく十分なホールド感でした。

軽量化のために接地面が狭くなっているため、前作よりも横方向の安定性が低めです。一方でミッドソール素材の「Fuelcellフォーム」は前作同様に沈み込みが大きくなくクッション性と接地感のバランスが良いためトータルの安定性は良好と感じました。

競合モデルと比べるとオートマチックな推進力は控えめですが、高速ペースでなくても反発の強度とテンポがアグレッシブ過ぎず扱いやすい範疇で推進力が得やすいと感じました。

「アディオスプロ」や「アルファフライ」などはペースが楽に底上げされる反面、ペースダウン時に反発がダメージに変わるのですが、「SC elite v5」は崩れた時でもダメージが少なく結果良いタイムで粘れる予感がします。

また、8mmドロップになったことで重心移動が楽になった印象ですが、ロッカーが比較的緩やかなためシューズが勝手に転がってピッチが上がり過ぎることなくペース維持が楽に感じました。そのため極端なピッチ/ストライド走法よりも標準的なピッチのランナーと相性が良いと考えます。

前述の通り「エリート」の冠がつくモデルとしては適正なペース帯が広くエリートランナー以外でも履きやすいと考えます。

筆者の感覚ではキロ3:45~5:00ペースで反発の強度とテンポが合って走りやすいと感じました。ペースにより反発性とクッション性のバランスが変化する感覚で、崩れた時は高いクッション性の恩恵を受けられそうです。

終始キロ3分台で走れるランナーにとっては「アディオスプロ」や「メタスピード」などの方が楽にペース維持できそうですが、サブ3.5やサブ3以上を狙う市民ランナーにとっては実力+αを引き出してくれるシューズと考えます。

一方で、キロ5分より遅いペースでは接地時間またはストライドに対して反発のテンポが合わずスペックを活かし難いと感じました。

総じて、サブ3~3.5以上を狙う、推進力よりもペースの安定を求めるランナーにオススメです。

来季に新モデルが出なければ「SC elite v5」を次のフルマラソンの第一候補にします！

辛口に言うとスペックは競合他社に僅か及ばないと感じますが、逆に一般ランナーにとってはオーバースペック過ぎず自信を持って本番レースに挑めるシューズだと考えます。レースで使用したら感想も追記しようと思います。

スペックに惑わされず自分に合ったシューズを見つけて、タイム更新に向けて頑張っていきましょう！

リンク