こんにちは。「アルトラ」はトレイルランニングシューズのブランドとして有名ですがロードモデルも人気があり数多くラインナップされています。今回はアルトラ「Vanish carbon 2」(バニッシュカーボン2)についてレビューします。
「Vanish carbon 2」の特徴
唯一無二のゼロドロップ厚底カーボンプレート
アルトラは「足本来の機能を引き出して怪我のリスクを減らす」ことを理念に生まれたブランドで、ドロップ(前足部と踵部の厚みの差)が無い「バランスドクッション(ゼロドロップ)」と趾を動かしやすくするための「フットシェイプデザイン」が特徴です。

出展:altrafootwear.jp

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中でも「Vanish carbon 」は昨今主流となりつつある「高反発厚底ミッドソール」と「カーボンプレート」が搭載されたスピードモデルです。ランニングシューズのドロップは8mm前後が主流なのに対し「Vanish carbon」は「ゼロドロップ厚底カーボンプレートシューズ」という珍しい設計です。
スペック・前作との違い
「Vanish carbon 2」のスペック、前作との違いは以下のとおりです。
- ドロップは0mm(前作同様)
- ソール厚みは36mm(前作は33mm)
- アルトラ史上最高反発素材「ALTRA EGO PRO™」を採用
- 重量は206gと超軽量(27.5cm)
- 「カーボンプレート」を全面搭載(前作は前足部のみ)
- 定価34,980円(前作29,700円)
ソールの厚底化により前作に比べてクッション性が32%向上したそうです。筆者は前作(Vanish carbon)も履いたことがありますが、確かにクッション性と反発性は「Vanish carbon 2」の方が断然高いと感じました。
サイズ感・履き心地
サイズ感は僅かに細め
縦のサイズは標準的で普段と同じサイズで問題なかったです。ラストはアルトラにおける「Slim」フットシェイプで横幅がやや細身(D相当)です。但し、アルトラの拘りで指を動かしやすくするために前足部のみやや広め(実際の足型に近づけている)になっています。
アディダスやニューバランスなどを履いているユーザーなら普段と同じサイズで問題ないと考えます。全体的にニューバランスの「Fuelcell rebel v4」に近いサイズ感でした。
アッパーはレーシーで軽量感抜群
メッシュアッパーは薄く硬めの非伸縮性素材でレーシーな履き心地です。通気性、排水性が良好です。
シュータンはガゼットタンで中足部のホールド感が良好です。素材もスウェードに近い硬さでシューレースの食い込みを感じません。靴紐はかなり長いです。
踵が高い
ヒールカウンターは薄く柔らかいですが、滑り止めが付いていて踵のホールド感に問題は無かったです。一点、ヒールカラーが高く内側にやや傾斜しているため、ヒールカラー先端がアキレス腱に当たりやすいです。筆者は問題無かったですが、他のシューズでもアキレス腱にヒールカラーが当たるランナーは注意が必要と考えます。
走行感
反発性よりも推進力・操作性重視
前足部の厚みが36mmあることもあり母指球下に強い踏み応えと反発性を感じます。ミッドソールは適度にコシがあり、シューズ主体で爆発的に弾むというよりもマイルドハイブリッドエンジンのように地脚に反発が乗ってくる感覚で推進力に変えやすい反発性に感じました。
また、屈曲点が指先にあるのが特徴で、良くも悪くも薄底シューズのようなマニュアル感がありつま先で蹴り出すか反発を逃がすか自在に操ることができます。最後の助力と扱いやすさのどちらを重視するかによって好みが分かれそうです。
他ブランドのエリートモデルと比べるとオートマチックな反発性は控えめかもしれませんが、一般市民ランナーには十分な助力が貰えて最後まで扱える丁度良い反発強度だと考えます。
ミッドフォア〜フォアフットがオススメ
ゼロドロップですが前足部が大きくロッカーしているため昨今の厚底シューズらしい前足部から前に転がるアシスト感があります。
筆者の感覚では、最も厚みのある母指球付近で接地すると反発とライド感を貰いやすかったです。反対に踵から接地すると母指球下でブレーキがかかる感じがあり、自分で重心の位置をキープする必要があると感じました。メタスピードスカイやアルファフライを更にフラットにしたような感覚でした。
総じて、ミッドフォア〜フォアフット接地のランナーにオススメです。
安定性とクッション性のバランスが良好
ミッドソールの硬さが丁度良く、沈み込みが少なめで安定性に寄ったクッション性に感じました。筆者の感覚ではホカオネオネに近い硬さでした。
足型に合わせたプラットフォームのため、接地面積は決して広くないはずなのに自然な接地感で安定感があります。
ショートからハーフマラソンにオススメ
キロ5分後半より遅いペースだと前足部が詰まるように感じましたが、キロ5分半〜ウィンドスプリントのペースまで広く使いやすかったです。1000m以下の距離でTTするには少し助力不足に感じましたが長距離目線ではスピード練習からペース走まで気持ちよくかつ思い通りのペースで走れました。
ドロップによる重心移動のサポートを受けにくいため、パフォーマンスが落ちるとそのままペースに反映されそうですが、シューズが超軽量かつ前足部の反発性が高くリターンも速いため地脚を使い切れるハーフマラソン以下の距離にオススメです。
フルマラソンに使えないわけではなく、自己ベスト更新を狙うよりもパフォーマンスの範囲内でスピーディかつ楽しく走れるシューズに感じました。これまで他のエリートモデルでは暴走して早々に撃していたランナーにとっては助力が丁度良く十分自己ベストを目指せると考えます。
まとめ
- 「ゼロドロップ厚底カーボンプレート」の唯一無二のシューズ
- 前足部厚みが最大級(36mm)
- 爆発的な反発性は控えめだが安定性が高い
- サイズは標準的でやや狭め
- タイム狙いならハーフマラソン以下の距離がオススメ
オリジナリティの溢れるデザインながら満足できる性能かつランナーを成長させてくれるシューズに感じました。シューズの性能や記録に目が行きがちですが、健康目的でランニングを始めた時の初心に帰ることができました。
怪我に気をつけつつタイムを目指して頑張っていきましょう!
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