ニューバランスが生み出したベアフットシューズ「ミニマスMT10」をレビューしていきます!
「T」はトレイルという意味でロード用の「MR10」というモデルもあります。レディースはミニマス「WT10」という名前になっています。
ミニマスMT10とは?
ニューバランスが発売しているベアフットシューズです。
かつて、「Born to Run」という著書からベアフットランやフォアフットが注目されましたが、市場規模の問題からか、ベアフット向けのモデルはあまりリリースされず、ミニマスも一度廃盤となっていました。しかし、根強い人気から復刻版として再度販売され、現在もニューカラーが発売されています。
ベアフットとは?
ベアフットシューズは裸足に近い人間本来の走りをコンセプトとしたシューズで、一言でいうとシューズがペラペラだから自分でクッショニング、前進する必要があります!
カーボンプレートや軽量クッション素材、メタロッカーなどよってシューズが高性能化したことで、クッショニング・前傾の維持等の動作をシューズが補ってくれるようになり、楽にタイムを出せるようになりました。
一方で、タイムがシューズの性能ありきになったり、走るシューズに乗せてもらってるように感じたりと、本来の走りとは?という疑問にぶつかる人も多いです。
また、シューズのクッション・補助機能に「頼りすぎる」と悪い癖に気付けない、癖が更に助長することで故障や伸び悩みの原因にもなります。
このような背景もあり、タイムでなくランナー自身の成長のためにベアフットランを行う硬派なランナーも多いです。(普通にマラソンを走るのに飽きたドMランナーの方が多いかもしれません)
ベアフットランのメリット
ベアフットが何か分かったけど、速く走りたいならナイキのヴェイパーフライ履けばいいじゃん!と思いますよね?
ですがベアフットランにはタイム向上にも役立つメリットがあります。
故障の予防になる(走り方を学べる)
ベアフットシューズはソールが薄く着地の衝撃がダイレクトに伝わるので、自分の体で着地の衝撃を受け止めて自分で前に進む必要があります。
ランニング中に膝や足裏など局所的に痛みが出るというのは、フォームの悪い癖が原因です。上下動が大きかったり、接地が雑だったりするとベアフットシューズを履くと顕著に分かります。
フォームが悪いと衝撃と痛みで走るどころでないので自然にフォームを意識して走るようになります。
これにより、効率的な走り方を(半ば強制的に)覚えることができます。
着地筋の強化
走る動作を全て自分でやる必要があるので、普段以上に着地筋に負荷がかかります。
ゆっくりペースや短い距離でも筋肉に負荷をかけたい場合には効果的に着地筋を鍛えることができます。
筆者はランニング仲間とゆったりジョグする際に、こっそり負荷をかけるために履いたり、心肺トレーニングの次の日に、心肺を休めながら足に負荷をかけるために履いたりしています。
純粋に楽しい
ベアフットシューズは解放感とナチュラル感が抜群で、自然に帰った気分で気持ちよくランニングできます。シューズ全体がペラペラで柔らかいので、裸足の感覚にかなり近いです。
ベアフットランの注意点
メリットも楽しさもありますが、注意も必要です。
距離・ペースを間違えると故障の原因に!
シューズのクッション性が低いので、当然ダメージも普段のシューズ以上に大きいです。また、骨の成長は筋肉の成長よりも遅いので、走力がついたり走り方に慣れても骨まで順応するのに時間がかかります。
そのため、履き初めはペースと距離をこれでもかってほどに抑えて、慣れてきても急にペースと距離は増やさない方がいいです。
意識を間違えるとフォームが逆に悪くなる
たまに見受ける良くない例として、衝撃に耐えられないから衝撃がでないように腰から上を固めて足先だけですり足で進むパターンがあります。確かに上下動がないので衝撃は無くなりますが、逆に腰から上を全く使えず足の筋力のみで前に進むことになるため、効率が悪いです。
腰も上半身も使った方が負担を分散できるので、ペースを落としてでも全身を使った(衝撃から逃げない)フォームを意識した方が効果的です。衝撃は足へのダメージとなりますが、余分な衝撃をクッショニングし、一部を反発として利用することで効率が良くスピードも出せます。
石コロ踏むと超痛い
当然ですが、ソールが薄いので石コロなどを踏むとダイレクトにきます!筆者もよく道端やガレ場の石や尖った枝を踏んで悶絶しました。ソールを突き破ることはないですが、アクシデント的なケガに注意が必要です。
逆に、踏まないように足の置き場を考えるようになるのと、思った場所に正確に足を置けるようになるのでメリットも大きいです。
ミニマスMT10のスペック
それではミニマスMT10を紹介していきます。
- ドロップ、クッション性
ドロップ(つま先と踵の高さの差)は4mmでゼロドロップではありませんが、十分に素足感があります。更に重量は197g(26.5cm)と軽量です。
- アウトソール
アウトソールにはビブラムが使われていて、濡れた舗装路、ウェットな木道でもグリップが効いてくれます。ソールが水玉模様のように配置されていて足裏で接地したポイントでグリップしてくれるので、これも素足感を高めてくれてます。
- ミッドソール
スタックハイト(ソールの厚さ)は約10mmとベアフットシューズとしてはやや厚みがあります。
普通のシューズに比べるとかなりシューズが屈曲しますが、土踏まずに補強が入っているので、若干のサポートはあるようです。
また、インソールは無い設計です。
レビュー
履き心地
ベアフットシューズとしてはクッション性がある方なので、裸足とターサージールの間くらいに感じました。
アッパーは大部分がメッシュで通気性が良いです。要所にピンポイントで補強が入っているため、中足と踵のフィット感が良いです。シューズの要らない部分を肉抜きして、必要な補強を最低限残した感じで、シューズとして良く考えられてるなと思います。
トレイルでの感想
ラグがほぼ無いので、刺さるグリップではなく接地面でグリップします。そのため面で踏むと良くグリップしてくれます。
アウトソールが水玉状してついているので、足のどこが接地してどこに荷重しているかがはっきり分かります。トレイルでは地面の状態や傾斜が接地時に即座に感じられるので、敏感に反応できます。
尖った石コロをうっかり踏むとさすがに痛かったです。
ロードでの感想
ロードでも十分に使えます。ワラーチほどのダイレクト感はないため、ロードの練習をしながら補完としてベアフットを取り入れたい場合にもぴったりだと思います。
また、完全なペラペラのベアフットというよりも、僅かにクッション性があるためベアフットランにチャレンジしたい方にもオススメです!
ジョグペースで走るだけでも十分に効果(負荷)があります。むしろ余裕のあるペースの方が動きを意識しやすいです。
耐久性
グリップが良い分、アウトソールが削れやすいです。ロード用で長く使いたい場合は、シューグーなどで補修すると長く使えます。筆者もミニマスMT10がお気に入りで時々補修しながら大切に使っています。ミッドソールはあって無いようなものなので、経年劣化の心配は無さそうです。
アッパーのメッシュは意外と丈夫で、トレイルで小枝を蹴ったりしても破れは無かったです。
まとめ
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- 比較的クッション性があり、ベアフットを始めてみたい、ロード練習の補完をしたい人にオススメ!
- 用法用量を間違えなければ故障なく効率的なフォームを学べる
- ベアフットランは純粋に楽しい
- アウトソールは削れやすい
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