<レビュー>ソールは引き算の時代?軽快さとフィット感がアップした「アディゼロボストン13」

ランニング

こんにちは。2025年6月よりアディダス「アディゼロボストン13」が一般発売されました。アディゼロボストンは筆者が愛用しているシューズの一つでボストン10からずっと履いています。早速履いてみましたのでレビューします。

「アディゼロボストン13」の特徴

ターゲットはサブ4~5(レース兼トレーニング)

公式によるとボストン13はサブ4~5ランナー向けのレース兼トレーニング用の位置づけとされています。厚底のミッドソールと必要十分なサポート機能により長い距離の巡航に適しています。

ボストン13は履き心地とスピード性能のバランスが良いため、多くのランナーにとってレースから練習まで広く履きやすいと考えます。筆者はサブ3ランナーですが、ボストン13は練習用として速めのジョグからペース走まで使用しています。

スペック・前作との違い

ボストン13のスペックと前作(ボストン12)との違いは以下の通りです。

  • ソール厚みは最大36.0mmに縮小(前作は39.5mm)
  • ドロップは6mmにフラット化(前作は8.5mm)
  • 高反発素材「ライトストライクプロ」を13.8%増量
  • グラスファイバー製の「エナジーロッド」を搭載(前作同様)
  • アウトソールパターンの変更(Ligthtractionとコンチネンタルラバーの組合せ)
  • 重量は255gに軽量化(27.0cm,前作は270g)
  • 定価は18,700円(前作と同じ)

時代逆行のソール薄底化

ミッドソール素材は前作と同様に高反発素材「ライトストライクプロ」と安定性の高い「ライトストライク」の2層構造となっています。

外側にこっそり黒い樹脂の補強も入っています。

競合モデルがモデルチェンジの度に厚底化していく中、ボストン13は前作よりもソールが薄い設計(踵36mm、前足部で30mm)となっています。一方でライトストライクプロ」が13.8%増量されたことで、トータルの反発性と安定性のバランスが図られた設計となっています。

また、ドロップ(前足部と踵の高さの差)が8.5mmから6.0mmになり、よりフラットでナチュラルな接地感となっています。

アウトソールには軽量な新素材「LIGHTTRAXION」を採用

これまでアウトソールは「コンチネンタルラバー」がメインでしたが、ボストン13では新素材の「LIGHTTRAXION」が採用され「コンチネンタルラバー」は母指球付近の配置となりました。

実感としてグリップ性能に差は感じず十分なグリップ性能でした。前作(ボストン12)は900km以上走ってもラバーがほとんど摩耗しなかったため、ボストン13もラバーの耐久性は十分と予想します。

プレート感の少ない「エナジーロッド」

昨今はプレート入りのシューズが主流となっていますが、ボストン13には「エナジーロッド」という5本のグラスファイバー製のロッドが搭載されています。プレートに比べてロッド1本1本が独立して動くためプレートよりも足裏の硬さを感じにくいことが特徴です。

プレートに比べて適度な屈曲性で、屈曲点はミッド〜フォアフットにかけて広く曲がります。

サイズ感・履き心地

サイズ感は前作同様

前作同じサイズで問題無かったです。但し、他ブランドに比べると大きめの作りのため2サイズで迷う場合は小さいサイズがオススメです。アディダスにしては横幅は広め(2E相当)で「アディゼロEvo SL」より僅かに狭く「タクミセン10」「アディゼロSL2」より広めでした。

踵と甲のフィット感が向上

アッパーは前作と同じ「エンジニアードメッシュ」という薄く非伸縮性の素材で通気性と追従性が高いです。

踵部については、ヒールカップとシュータンが肉厚になり甲と踵のフィット感がとても高いと感じました。

足首サイドのサポートが弱いかも

一点、踵に加重した際に足首下のアッパーが左右に広がって隙間ができて、足首横のサポートが弱いと感じました。ヒールストライクやプロネーションの強いランナーは注意が必要かもしれません。

走行感

前作よりサポートが減って操作性がアップ

ミッドソールは沈み込みが少なめで、更にソールがフラットになったためか適度な接地感があります。ボストン12は踵が支えられて重心が前にアシストされる感覚がありましたが、ボストンは踵のサポートと主張が控えめで操作性が良かったです。

そのため、踵接地や重心移動のサポートを求めるランナーはボストン12、サポートよりも操作性と軽快さを求めるランナーはボストン13と相性が良いと考えます。

反発性はスペック相応に十分

「スピードが底上げされる」タイプの反発性でキロ5分ペースの感覚でも10秒程度速く走れていました。見た目通りに「ライトストライクプロ」の比率の高い前足部で踏むとバウンド感を得やすいです。

レース用としては競合モデル(ズームフライ6マジックスピード4Evo SL)の方がより推進力が高く軽量に感じますが、走らされる感覚やプレートの異物感が苦手なランナーにとってはレース終盤まで沈み込み・突き上げによるダメージを抑えられると考えます。

オーバープロネーションに注意

前足部が若干内側(母指球側)に傾いていることに加え、中足部内側が肉抜きされているためか、前足部で接地すると少し内側に傾く(プロネーションする)と感じました。

逆に踵部はフラットで安定性が抜群なため、後足部もしっかり使うと母指球への重心移動がスムーズに感じました。ズームフライは重心が下がると調子を落としやすいですがボストン13は重心が下がってもサポートが働きペースダウンし難いです。

テンポアップ用として幅広いランナーにオススメ

ソールがフラットになったことで(サポートも含めた)癖が少なくなり、「ライトストライクプロ」の増力によりスピードの上限も上がったことでペース帯が広くなったと感じました。キロ3分台でも問題なくペースアップでき、キロ6分ペースでもシューズが暴れませんでした。

オートマチック過ぎない適度な助力により「地脚を鍛えつつ練習の質を上げる」のに最適で、エリートランナーから4時間台のランナーまで練習用、特にテンポアップ用として広くオススメです。筆者の感覚ではキロ4分後半ペースで走りやすかったため、サブ3.5~4狙いだとそのままレース用にするのも有りと考えます。

まとめ

  • ソールがフラット化され操作性と軽快さがアップ
  • 踵部とシュータンが肉厚になりフィット感向上
  • 沈み込みやプレート感が苦手なランナーにオススメ
  • レベル問わずテンポアップからレースまでオススメ

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