<レビュー>沈み込みゼロな硬派すぎるスーパーシューズ!「Fast-R Nitro Elite」

ランニング

こんにちは。PUMAが生み出した独特なデザインの厚底ランニングシューズ「Fast-R Nitro Elite(ファストアールニトロエリート)」を手に入れましたので感想をまとめました。

「Fast-R 」は発売当初に設楽悠太選手(HONDA)が着用しているのが話題となっていました。一方でマラソン大会では滅多に見ることが無かったため思い切って買ってみました。

「Fast-R Nitro Elite」の特徴

「Fast-R」のスペック

「Fast-R」のスペックは以下の通りです。

  • ソール厚みが38mm(踵部)の厚底シューズ
  • ドロップは8mmで標準的
  • カーボン製の「パワープレート」を搭載
  • ミッドソールには高反発素材「ニトロエリートフォーム」と「EVA」を併用
  • 重量は224g(27.0cm)と軽量な部類

厚底のセパレートソール

外観からも分かる通り、「Fast-R」は「厚底のセパレートソール」という特徴的なデザインです。

中足部に接地面がないため前足部と踵部にパワーを集中させやすい構造と言えます。また、ミッドソールの前足部はPebax系の高反発素材「ニトロエリートフォーム」、踵部はEVA系の安定性のある「ニトロフォームとなっていて、前足部を荷重しやすく反発を得やすい設計となっています。

「ニトロエリートフォーム」はプーマ史上最高反発の素材で、「エナジーリターンが82.8%耐久テスト(50万回)でも反発性が劣化しない」と説明されており、反発性と耐久性が両立された素材と言えます。

中足部はカーボンプレートがむき出しになっています

「ニトロエリートフォーム」は触るとプニプニして柔らかいのですが、実際に足入れすると接地感は硬めです。ブルックスの「DNAFLASH」よりわずかに柔らかく、ナイキの「ZoomX」やニューバランスの「Fuelcell」よりも硬く感じました。

厚底+カーボンプレートのハイエンドモデル

「Fast-R」はソール厚みが30-38mm(前足部-踵部)の厚底シューズです。ソールのクッション性・反発性を最大限に活かすことができ、マラソンのような長い距離の巡航に向いています

加えてカーボンプレート(パワープレート)が搭載されていて安定性の向上と反発・重心移動のアシストが図られています。同じくプーマの「ディヴィエイトニトロ」に使用されている「イノプレート」に比べて硬く剛性が高いそうです。

サイズ感・履き心地

サイズ感はやや縦長で細め

他モデルに比べて僅かに縦長に感じました。2サイズで迷う場合はワンサイズ小さくても問題無いと考えます。

横幅とボリュームは狭めでアシックスやミズノのシューズに慣れている方には窮屈に感じるかもしれませんが、ナイキに比べると中足部にゆとりがあります。

筆者はアディゼロシリーズは26.0cm、ナイキ、ニューバランスは基本26.5cm、アシックスは26.0~26.5cmで履いています。Fast-Rは26.0cmでピッタリでした。

アッパーは適度な厚みと伸縮性

「モノメッシュアッパー」は適度な厚みと伸縮性でフィット感とホールド感のバランスが良いです。昨今主流の極薄のパリパリした素材ではなく包み込むような履き心地です。

横ブレを懸念していましたが側面に施されたパワーテープ」により横方向のホールド感も良好でした。

踵周りは薄手ですが極細の硬い補強パーツがついていて意外にも踵のホールド感も良好でした。

走行感

厚底感が少なく接地感・足離れが良好

履いた第一印象として、スペックよりもソールが1cm近く薄い感覚で接地感が高かったです。

走った感覚も競合モデルに比べてオートマチックなクッション性は控えめな分、反発のレスポンスが速いと感じました。クッショニングで消える分のエネルギーがそのまま反発で返ってくる感覚で、半ば強制的に足を回されるアシスト感がありました。

そのため、ソールにパワーを溜めて弾むよりも薄底的な足捌きの良さでペースを上げやすいシューズだと感じました。

プレートは硬めでつま先まで蹴り込める感覚です。

推進力のある前足部と安定する踵部

イメージ通りに「ニトロエリートフォーム」が搭載された前足部を使うことでペースを上げやすかったです。中足部が接地しないためミッドフットでも前足部が荷重しやすい感覚で前重心を維持しやすかったです。反発の質も真上にボヨンボヨン弾むよりもクイックな反発で推進力を前に向けやすいと感じました。

一方で、踵部は反発性が低めでロッカーも緩いため、ヒールフットだと競合モデルの方が助力を感じやすいと感じました。反対に、踵部の沈み込みが少なく支えられているサポート感が高いため、疲れてきた状態でも前重心を維持しやすかったです。

総じて、ミッド〜フォアフット接地、シューズを使うよりも地脚で走るタイプ(薄底に慣れている)のランナーと相性が良いと考えます。また、踵部にはクッション性・反発性よりも安定性(姿勢のサポート)を求めるランナーにオススメです。

サブ3.5より速いペースにオススメ

接地感が高いため競合モデルに比べて幅広いペース(自力前後の)で走りやすいと感じました。

キロ3分30秒〜4分10秒でのポイント練習で使用しましたが、重さは気にならず体感よりも推進力も感じられスピード性能は競合モデルに遜色ないと考えます。自然とキロ3分台に上がっていて「ペース維持が楽」というよりも「ペースを底上げする」タイプのシューズに感じました。

また、キロ5分のペース感覚で走ってもキロ10~15秒程度速く走れました

但し、オートマチックな助力とクッション性は控えめなため、フルマラソンで使用する場合は薄底シューズでも走りきれるくらいの地脚が必要そうです。

サブ4前後のペースでもデメリットは感じませんでしたが、「ディビエイトニトロ2」や「マジックスピード(アシックス)」、「ズームフライ(ナイキ)」の方が助力とクッション性を感じられ良いタイムが出ると考えます。

総じて、フルマラソンならサブ3.5~サブ2:40狙い(キロ4分代〜3分後半)のランナー、ペース維持よりもスピードに余裕を持ちたいランナーにオススメです。また、10km以下のレース、スピード練習用であればペース帯に限らずメリットを享受しやすいシューズだと考えます。

まとめ

  • 「厚底+セパレートソール」の独自デザイン
  • サイズ感はやや縦長で細め
  • オートマチックなアシスト感は控えめだが足捌き・操作性が良い
  • 踵部のクッション性は控えめだが安定性・サポート感が高い
  • サブ3.5〜サブ2:40(キロ5~3分中盤ペース)におすすめ

2023年12月に「Fast-R Nitro Elite 2」が発売されてかなり気になっていますが、市民ランナーのフルマラソン用としてはFast-Rの方が扱いやすいスーパーシューズだったりするのかもしれません。シューパーシューズの性能をフル活用できるように頑張って行きましょう!

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